西洋医学と東洋医学(中医学)のコラボレーションによる漢方専門クリニック|東京都千代田区神田小川町

千代田漢方内科クリニック|医療法人社団 千禮会
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不妊治療において漢方の役割及び効果について

現代社会における不妊治療について

千代田漢方内科クリニック晩婚、高学歴、結婚してもすぐに子供は作らない、気がついたらもう三十代…。
漢方医学では「女性は7年」「男性は8年」の周期で体が変化して、女性は35歳、男性は40歳を境に体が衰えていくと考えます。これは現代医学もほぼ同じ認識を持ち、実際のところ、女性は35歳を過ぎると体が衰え始め、自然妊娠率も20代と比べて、ぐんと下がります。
また、女性の社会進出が進む現代、結婚後も働く女性が多くなりました。職場、家族などの人間関係を中心とした社会的因子から生ずる精神的、肉体的ストレスも少なくありません。そんな現代において、不妊は、妊娠によって母体にもたらされる負担を未然に回避する、ひとつの母体保護のための自衛的反応と考えられます。

不妊の一因に対する考えかたは?

不妊の一因「卵巣機能や体の衰え」に対する考え方

年齢による卵巣機能や体の衰えは漢方医学では腎虚(じんきょ)と考えます。
漢方医学でいう腎とは、腎臓はもちろん、副腎・女性の子宮・卵巣、男性の睾丸、膀胱などの泌尿生殖器をあわせていいます。
腎は、人間の生殖、成長、発育を担うエネルギー源「精」を蔵していると考えられ、精が充実していれば若さを保て、不足してくれば老化が進むと考えています。
腎精には親から受け継いだ生命力、遺伝子、人間が本来もっている生きる力が蓄えられています。
つまり、腎精の盛衰が発育、成長、老化の過程および生殖(子供を生む力)に強く関係してくるのです。排卵誘発剤などの使用による卵巣への負担も、この腎虚を引き起こすものと考え、補腎治療を行います

不妊の一因「ストレス」に対する考え方

千代田漢方内科クリニック漢方医学では、不妊患者さんの持つストレスをケアするため、緊張を緩和する「疎肝理気(そかんりき)」という治療法を用います。
疏肝理気の “気” とは目に見えないエネルギーのようなもので、体中を巡って、さまざまな身体活動の原動力になっています。ところが、ストレスが過度にかかると、この “気” の巡りが滞ったり、さらには血のめぐりが悪くなってしまって淤血・おけつ(血流が滞って体の各所にトラブルを招く状態)を引き起こします。疎肝理気による治療法は、不妊の大きな要因であるストレスに対して、非常に有効な治療法であると考えます。

不妊の一因「栄養不良」に対する考え方

千代田漢方内科クリニック不妊患者さんに、貧血、やせ気味、月経量が少ない、月経周期が遅れがちであるなどの症状がみられる場合、漢方では、栄養状態に何かしらの問題があると考えます。
そこで、栄養状態を改善するために、消化吸収を良くする「健脾(けんひ)」という治療法を用います。私の経験上、前述の症状に対して、非常に効果的です。
女性ホルモンと体脂肪は密接な関係にあります。正常な生殖機能を維持するために、理想的なBMI(Kg/m*2)は20~25。15以下では生理が止まり、30以上では月経不順の可能性が高まります。自分の適正体重を知る事は重要であり、適正体重を維持することは不妊治療に結びつくことになります。

不妊の一因「冷え」に対する考え方

漢方医学での不妊の直接原因のとらえかたとして、冷えが起因で淤血(おけつ)、水毒(すいどく)を来たすことが挙げられます。冷えを改善することで、血の流れ、水の流れを改善して、骨盤内の血液循環改善をはかり、卵巣ホルモンの働きを改善させて、妊娠しやすい体をつくります。

不妊治療において漢方

子宮機能不全(子宮因子)に対する漢方治療

千代田漢方内科クリニック子宮内膜増殖分泌不全、子宮筋の過緊張、卵管粘液分泌不全に対しても、体質を見極めることから治療するという方針に変わりありません。西洋医学的には子宮因子の異常はエストロゲン、プロゲステロンレセプターの機能異常と考えますが、漢方では両ホルモンの卵巣から子宮への循環障害が関与していると考えます。
循環障害を招く原因には?血、水毒、冷えなどが挙げられるでしょう。そこで、「駈?血剤(くおけつざい)」、体内の余分な水分を排泄する「利水剤(りすいざい)」の他、子宮を暖める働きのある薬が有効と考えます。
また、過緊張を和らげる薬として「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」も有効です。
その他、代表的な子宮因子である子宮内膜症・子宮筋腫は、漢方医学ではちょうか(塊)と解釈され、持続的な?血と気滞が原因にあるとします。治療剤としては「桃核承気湯(とうがくじょうきとう)」「通導散(つうどうさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「温経湯(うんけいとう)」などがあります。

卵巣機能不全に対する漢方治療

卵巣機能不全に対して、漢方治療は非常に有効であると考えます。ただし、卵巣機能不全の重症度が高い、特殊性がある(多のう胞性卵巣、高プロラクチン血性など)場合、西洋医学の不妊治療と併用することもあります。

卵管機能不全(卵管因子)に対する漢方治療

卵管が完全に閉塞している場合は手術などの方法で通過障害を改善するか、体外受精をするのが一般的です。ただ、中には、交感神経の過緊張により卵管が痙攣し、卵のピックアップから受精卵の移送が円滑にできないことも多く認められます。
この場合、漢方治療では疏肝理気という治療法、「駈淤血剤(くおけつざい)」「利水剤(りすいざい)」などの処方が中心です。卵管痙攣には「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」を用います

男性機能不全不妊症(男性不妊)に対する漢方治療

男性不妊の主な原因としては、造精不全(精子の量、質、運動率などに問題がある)、EDなどがあげられます。女性と比べれば、男性のほうが冷え、循環障害が少ないと考えられますが、ストレスが多い現在社会、また冷飲食が多い食生活などの原因により、男性の冷え、循環障害も軽視すべきではありません。
また、働きすぎやストレスも多く、疲れすぎている男性がたくさんいらっしゃいます。こうした要因から、体力・精力の低下などのいわゆる腎虚が目立つため、治療では腎を補う、滋養強壮剤の処方が必要と考えます。「海馬補腎丸(かいまほじんがん)」や「OGハーブ」が有効と考えられます

高プロラクチン血症に対する漢方治療

千代田漢方内科クリニックプロラクチンは下垂体という脳の一部位から分泌されるホルモンのひとつで、乳腺刺激ホルモンとも呼ばれ、通常は妊娠~分娩後授乳期間中に乳腺を刺激して乳汁の分泌を促し、排卵を抑えるように働きます。しかし、このホルモンの分泌が妊娠していないときも亢進して、無月経、無排卵、月経不順などを起こすものを高プロラクチン血症といいます。
普段はプロラクチンの値が正常値の人でも、強いストレスが続いた時や、夜間、黄体期の場合などに数値が高くなることもあります。これを潜在性高プロラクチン血症といい、排卵、月経が遅れたりすることもあります。
漢方医学的には、プロラクチン分泌の制御を司る視床下部は肝との関係が密接であり、プロラクチン分泌は肝鬱気滞(かんうつきたい)に影響を受けています。したがって、女性の月経と乳汁分泌は、五臓六腑の血が充足している衝脈から生ずるものであり、気血が虚している場合に、母体保護のため、プロラクチン分泌が多くなり、排卵を抑制して、結果的に妊娠を回避するよう働いていると考えます。そのため、治療では “女性は血をもって先天となす” という考えのもと、血を補う治療「補血」を行います。「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などの補血薬が適応です
また、胃腸の働きは栄養吸収の要であり、これもまた、肝と関係しています。したがって、高プロラクチン血症の治療は、肝(ストレスケア)と、その上の精神を司る脳(心)と補血、健胃の3つを考えて治療することが大切です。具体的な治療方法としては、疏肝利気(そかんりき)、健脾消導(けんぴしょうどう)、安神補血(あんしんほけつ)になります。 、

PCOS(多のう胞性卵巣症候群)に対する漢方治療

PCOS(多のう胞性卵巣症候群)は排卵障害の20~40%を占めると言われています。この病気は、自力で排卵しづらいのが特徴ですから、現在の段階では排卵誘発剤を使って排卵を起こす方法はスタンダードな治療法です。漢方医学的には、PCOSを “卵巣の膜に循環障害があり、?血(血流の滞り)と痰湿(汚れた物質)がたまって硬くなっているために排卵しにくい” と考えます。そこで、この膜を柔らかくするために、血液の流れを改善する「駈?血薬(くおけつやく)」と痰湿を除く「化痰薬(かたんやく)」を、また、排卵を促すために「疏肝薬(そかんやく)」を、さらに卵子の発育と排卵させる力をつけるために「補腎薬(ほじんやく)」を用います。基本的には活血、駈痰湿、疏肝、補腎という治療を行うことで解消を目指します。

漢方と不妊治療

漢方では単に「不妊を改善する」などの効果だけを期待して治療するのではなく、患者さんひとりひとりの体質や症状に合わせて、無理のない治療方針を選び、漢方薬を処方していきます。
内臓器官や血液循環を良くすることから、健康な状態をつくりあげていくことで、結果的に不妊の改善にも効果が期待できるということなのです。
赤ちゃんは、病気になりにくい健康な体にやってきます。自分に合った漢方を上手に取り入れて、不妊の改善に役立てていただければ幸いです。